訪日外国人が増えるに従い、歯科医院も外国人患者の来院に備える体制が求められています。旅行中に急に歯の痛みに見舞われることもあるため、日本で診療を受ける機会も増えてきています。そこで今回は、歯科医院が外国人旅行者を受け入れるための具体的な準備について解説します。
1. 外国人旅行者の受け入れの現状
日本政府観光局のデータによると、2024年5月の訪日外国人は約3,040,100人に達しており、前年と比べて60.1%も増加しています。観光だけでなくビジネスでも日本を訪れる外国人が増加し、その中には滞在中に急な歯痛で歯科医院を訪れる方も少なくありません。こうした急患にも対応できるよう、歯科医院側の受け入れ体制を強化することが重要です。
2. 外国人(旅行者)患者受け入れのための準備
外国人患者を受け入れる際は、言葉や文化の壁が診療の妨げにならないよう、以下の準備が効果的です。
2.1 問診票などの英語対応(多言語化)
歯科の診療には、患者さんの詳細な症状や健康状態を知るための問診票が欠かせません。日本語が不慣れな外国人旅行者向けに、問診票を英語など多言語に対応させることが理想的です。厚生労働省では「歯科問診票(Dental Questionnaire)」の英語版テンプレートを提供しているため、まずはこちらを参考にして、多言語対応を進めることをおすすめします。
2.2 コミュニケーションツールの準備
英語表記の院内案内や、簡単なピクトグラムを準備することで、言語の壁を感じずに院内を案内できる環境を整えましょう。例えば、「受付」「診療室」「トイレ」といった案内板には英語表記を追加するほか、必要に応じて「禁煙」「携帯電話禁止」といったピクトグラムも設置すると、外国人にとってもわかりやすい院内になります。これらの準備は、外国人旅行者のみならず、日本人にとっても親切でわかりやすい案内になるでしょう。
2.3 診療時のマニュアル整備
外国人患者への対応をスムーズにするためには、スタッフ全員で共有できる診療マニュアルの整備が重要です。マニュアルには以下の項目を盛り込むと便利です:
- 治療費の案内:外国人旅行者は保険が適用されないため、全額自費となります。多言語での治療費案内を準備し、診療前に料金についての納得を得ることでトラブルを未然に防ぎましょう。
- 翻訳アプリの活用:英語が話せるスタッフがいない場合は、タブレットに翻訳アプリをインストールして対応をサポートします。必要に応じて通訳サービスの利用も検討してください。
次回予告
次回は「インバウンド対応の歯科医療!外国人患者を安心サポートするための注意点」をお届けします。外国人旅行者を安心して迎えるために準備を整えることは大切ですが、実際に来院された際にはさらに細やかな配慮が求められます。文化や言語の違い、治療費の説明など、トラブルを未然に防ぎスムーズな診療を行うためのポイントを具体的に解説します。お楽しみに!